集英社ビジネス書

試し読み

誰でもコンサルタントになれる時代がやって来た!

「コンサルタント=経営コンサルタント」は、思い込み

 ある日、あなたがテレビを見ていたら、ラーメン特集をやっていました。
 味噌ラーメンにスポットを当てているらしく、おいしそうな味噌ラーメンが、次から次へと出てきます。あなたのノドがゴクリと鳴ります。
「そうだ! 今晩はラーメンを食べに行こう!」
 こんなとき、あなたはどのような店で、ラーメンを食べようと思いますか?

 おそらく、ファミレスや中華料理屋ではないと思います。確かにメニューにラーメンはありますが、それが売りではないのですから。
 やっぱり行くならラーメン屋。それも味噌ラーメンの専門店か、味噌ラーメンが看板メニューのお店に行くはずです。
 何事にも「専門性」を求めるのが、今の時代の風潮なのですから。

 実際、あらゆる商品を取りそろえた百貨店は、相次いで閉店しています。その跡地には家電専門店が入って、こちらは逆に大繁盛。
 似たようなことは、外食産業でも起こっています。昔は郊外の大型飲食店と言えば、どこもかしこもファミレスでしたが、最近は回転寿司や食べ放題の焼き肉屋、ハンバーグなどの専門店に取って代わられているのです。
 お客さんを惹き付ける専門性に必要なものは、その店の「イメージ」。
 世間に「あの店はこだわりがある」というイメージを与えられれば、お客さんであふれ返ります。
 多くのお客さんを集めるために、日本一を目指す必要性はないのです。
 私はこれを「味噌ラーメンの法則」と呼んでいます。

 こうした流れは、コンサル業界にも波及しています。
 かつてはコンサルタントと言えば、「経営コンサルタント」を意味していました。
 頭脳明晰な人たちが、難解な経済学や経営学を駆使して、ビジネス上の問題をビシバシ解決していく……。多くの人がそうしたイメージを持っていたはずです。
当然ながら、超エリートしか就けない職種でもありました。
ですが、先ほども言ったように、時代は専門性を求めています。

ある程度の専門性があり、「その分野のプロフェッショナルだ」というイメージを作れれば、コンサルタントになれるのです!

ニーズの数だけ、コンサルのネタはある!

 改めて、14〜17ページを見てください。私が知っている一部ではありますが、これだけのコンサルタントが、職業として成り立っています。
 たとえば、昔からよくいるお見合いさせるのが大好きなお節介なおばさん。彼女たちもその気になれば、「恋愛コンサルタント」を名乗れるのです。
 世間の要望は、これからもどんどん細分化していきます。その細かくなった分だけ、対応できるコンサルタントが必要になります。今の時代は、ニーズの数だけコンサルタントが求められているのです。
 見方を変えれば、世の中のニーズを正しく見抜き、専門性を効果的にアピールできれば、誰でもコンサルタントに転身できます。

私は、コンサル起業を夢見る人たちから、日々たくさんの相談を受けています。そこでよく耳にするのが、次のような言葉です。
「他人にアドバイスできることが、私には1つもないのですが……」
 いいえ!
 そんなことはありませんよ!
 特別な技術や才能はなくても、それぞれの業界で5年くらい仕事をしていれば、それなりの経験やノウハウは蓄積されています。
 あなただって、人生で一度や二度は、誰かから相談されていませんか?
 あのとき、あなたが相談された理由は明白です。
 相手に「その分野について、自分よりも詳しい」と思われたから、アドバイスを求められたのです。
 だとすれば、あなたが受けた相談内容は、そのままコンサルのコンテンツになる可能性があります。
 悩みがあるということは、ニーズがあるということですから。
 もしくは、何か強烈にハマっている趣味はありませんか?

それなどはまさに、コンサルのコンテンツ以外の何物でもありません。趣味を追求した結果、コンサルタントに転身した人は大勢います。

年収650万円で、ストレスフリーのビジネス

 私は現在、44歳です。人生の折り返し地点までやってきました。
 そのせいか、ふとこんなことを思います。
「仕事をしていてつらい人は、人生そのものがつらいのではないか?」
 社会人は、起きている時間のほとんどを、仕事のために費やしています。そこで上司に頭を下げて、部下に気を遣い、取引先に振り回されて……。
 そんな過ごし方ばかりしていたら、ストレスを抱えて当たり前です。
 人間関係が円満であっても、仕事にプライドを持てなければ、やはり幸せは感じられません。会社勤めだと、自信を持ってすすめられない商品を、社命で売り歩かざるを得ない場面も出てきます。そうした働き方をしていたら、幸せを感じられるはずがないのです。

私のクライアントには、元大手銀行員の財務コンサルタントや、元大手保険会社勤務のファイナンシャルプランナーがいます。
 彼らは、激務とストレスに耐えられなくて、前の会社を辞めています。
 ところが、コンサルタントとして独立してからは、「ストレスはない!」「仕事が楽しい!」と、口をそろえて言っています。
 売れっ子のコンサルタントともなると、確かに忙しい毎日が続きます。そんなときも、体力的にキツイだけで、仕事そのものは楽しいものです。
 その証拠に、コンサルタントはみんな、見た目が若い。だいたい、実年齢より5歳は若く見えます。10歳くらい若く見える人も珍しくありません。
 私自身もノーストレスで、毎週月曜日が来るのが楽しみで仕方ありません!

コンサルタントがストレスを抱えづらい理由の一つは、「イヤなお客さんと付き合わなくていい」ことがあげられます。
 営業マンも店舗スタッフも、会社という組織の中で仕事をしています。お客さんに理不尽な要求をされても、組織全体のことを考えたら、ストレートに不満は言えません。イヤなお客さんでも、笑顔で応対しないといけないのです。

 ですが、コンサルタントは個人事業主。自分がイヤなクライアントとは、無理して付き合わなくてもいいのです。乗り気になれないときは、「その案件は専門外です」
とでも言ってしまえば、相手を怒らせることなく依頼を断れます。

 初年度から年収650万円を期待できて、大したストレスも感じず、仕事に喜びを見出せる−−。サラリーマンの平均年収が400万円と言われている時代に、このような働き方が現実にあるのです。
 しかも、年収650万円というのは、初年度の目標に過ぎません。軌道に乗ってくれば、1000万円オーバーも夢ではありません。
 どうです?
 コンサルタントに魅力を感じてきませんか?

直接、「ありがとう」が聞ける大きな喜び

 コンサル起業はストレスフリーなだけでなく、「充実感」も得られます。
 
社会人にとって励みになるのが、お客さんからの「ありがとう」の一言。仕事がつらくても、安月給でも、この言葉で少しは救われます。
 ですが、この最低限の報酬すら、受け取れない職場がたくさんあります。
 商品開発や企画部門の人間は、実際に自分が関わっている商品やサービスのエンドユーザーから、「ありがとう」の声を間接的に受け取ることはあっても、直接聞くことはむずかしいのが現実です。
 総務や経理で働いていると、感謝される機会そのものが限られます。どれだけ見事な仕事をしても、精神的な報酬すら得られないわけです。
 こうした毎日を過ごしていたら、「何のために働いているのかわからない」と、絶望的な気持ちになってしまうのも当然です。

 こうした仕事と、コンサルタントはまったく違います。よい働きをすれば、クライアントから「ありがとう」と言ってもらえます。
 私は「出版コンサルタント」でもあります。自分の著書の出版を強く望むものの、方法を知らない人たちにノウハウを教え、出版のサポートを行っているのです。ビジネスで成功を目指す士業、コンサルタントは、出版にも興味がありますから。

出版という夢を実現したクライアントは、みんな心から「ありがとう」と言ってくれます。うれしさのあまり、涙を浮かべる人もいます。
 そんな彼ら、彼女たちを見ていると、私もうれしくてたまりません。
 コンサルタントの仕事には、「ありがとう」があふれているのです。
 だからこそ、やりがいも見つけられます。誰のために、何のために仕事をしているのかが、日々のビジネスを通じて実感できるのですから。

 また、コンサルタントは仕事を通じて「達成感」も得られます。
 先ほどご紹介した出版コンサルの場合、クライアントの多くは、本業である程度成功を収めた方々です。会社経営者はもちろんのこと、弁護士や医者やキャリア官僚など、社会的地位の高い方もいらっしゃいます。
 そうした方々が、私の言葉に真摯に耳を傾け、心の底から感謝してくれる。なにせクライアントにとって、コンサルタントは「先生」なのですから。
 世の中で「先生」と呼ばれる職業は、政治家、医師、教師、弁護士くらいです。
 あなたもコンサルタントになった途端、そこに含まれるのです。

もちろん、私がクライアントより、人間的に勝っているわけではありません。クライアントはどなたも、すばらしい経歴の持ち主ですから。
 私が彼らに勝っているのは、出版や起業やセミナーなど、「コンサルのコンテンツにしている特定のテーマ」についてだけです。
 言い換えれば、たった一点だけでもクライアントに勝っていれば、プロのコンサルタントとして活動できるのです。

 あなたも自分のセールスポイントを明確にして、それをコンサルのコンテンツにしてください。そうすれば、周囲から「先生」と呼ばれます。誰でも何か一つくらいは、勝負できることはあるのですから。
 あとは、それをどうやって見つけて、誰にどうやって提供していくか。この本を最後まで読み終えて、書かれていることを実践したとき、あなたにもきっとそれが見つかります。

コンサルタントに資格はいらない!

 私のクライアントには社会的地位の高い人が多く、超有名大学を出た人もたくさんいます。
 一方、私自身はというと、偏差値50そこそこの大学を卒業しています。
 しかしそのことが、コンサル活動に支障をきたしたことはありません。資格も宅建(宅地建物取引主任者)くらいしか持っていませんが、これまた不都合はありません。
「え? コンサルタントって、資格がいらないの?」
  ひょっとしたらあなたは、そんなふうに驚いたかもしれませんね。
 確かに日本国内の仕事には、資格が求められるものが少なくありません。専門性が高い仕事は、なおさら資格必須のイメージがあります。
 ですが、コンサルタントの仕事をする上で、資格はライセンスでしかありません。
 あなたが「この分野の専門家」「適切なアドバイスを与えてくれる人」というブランド(他社認識)さえ作れれば、資格がなくてもできる仕事はたくさんあります。
 資格よりも実績。それがコンサルの世界です。

 私に言わせれば、資格がご飯を食べさせてくれるわけではないのです。
 その証拠に、資格の難易度と収入は、必ずしも比例していません。
 どちらも同じ法律系の資格ですが、年収300万円未満の弁護士もいれば、年に数千万円を稼いでいる行政書士もいます。資格を取る難しさだけなら、明らかに弁護士が上なのに、収入は逆のケースもあるのです。
 資格というのは、国から与えられた「その仕事をしていいですよ」という許可を与えられた証に過ぎません。変にこだわる必要はないのです。

 ときには、資格がないからこそ、“自由に仕事ができる”という場面すらあります。
なぜなら資格を持っていると、「法律」などの規制に縛られる可能性があるからです。迂闊なことを言うと、最悪の場合、資格停止、免許剥奪もありえます。
 業界団体の理解しがたい規定や、先輩後輩の利害関係などもあるでしょう。そうした「しがらみ」にとらわれてしまい、クライアントのためになることを、言いたくても言えない場面が出てくるかもしれません。
 これが資格を持っていなければ、しがらみなんて気にすることはありません。クライアントのためになることを、ストレートに言えるのですから。

 また、クライアントの側が、変に資格を気にするケースもあります。
 こうした人は、あなたと自分の資格を比べたがります。ここで「あのコンサルタントの持っている資格は、自分の資格よりレベルが低い」などと思われたら、アドバイスを与えても従ってくれないでしょう。それ以前に、あなたのところに、相談に訪れようともしないでしょう。
 はじめから資格がなければ、こうした比較もされません。
 繰り返しになりますが、コンサルタントにとって大切なのは、資格よりも自分の実績とブランド力。そのことを忘れないでください。
 あなたのブランド力の高め方は、第5章の後半でお話しします。

私は、こうしてコンサルタントになった!

 あなたはまだ、「どうすればコンサルタントになれるの?」「どうすればコンサルのネタが見つけられるの?」と、迷っているかもしれません。
 そこで、自己紹介も兼ねて、私がコンサルタントになった経緯をお伝えしましょう。

 私が代表を務めるネクストサービス株式会社は、起業家を応援する会社です。
 基本的には、社員数10名以下の小企業が対象です。
 弁護士、行政書士、社労士(社会保険労務士)といった士業の方々や、さまざまなコンサルタントの方々からも、よく相談を受けています。
 こうした職業の人たちは、本人のブランド力が命。それをアップさせるお手伝いをするのが、私のメインの仕事というわけです。

 ブランドは、「安心」「信用」「信頼」に変わります。
 同じ値段でブランド品とノーブランド品が並んでいたら、誰でもブランド品を買うでしょう。士業やコンサルタントも同じです。
 たとえば、フードコンサルタントが2人いたとしましょう。
 Aさんは何冊も本を書いている。マスコミにもたまに出ている。洗練されたホームページを作って、積極的に情報公開もしている。
 一方のBさんは、大した知名度もなく、近所にチラシを配っているだけ。
 この2人のギャランティが同額だったら、多くの人はAさんに依頼するはずです。
 士業やコンサルタントは、本人のブランド力があれば、自然とお客さんが集まってきます。そのためのノウハウを、私は提供しているわけです。

 そんな私ではありますが、最初からコンサルタントを目指したわけではありません。
 もともとは、電話会社の代理店事業からスタートしました。固定電話の回線を販売して、その手数料で生計を立てていたのです。
 そのうち、当時流行しかけていたブログに、商品説明を書き始めました。今で言うところの、セールスレターみたいなものです。少しでも多くの人に読んでもらうために、文章や見せ方には、自分なりの工夫を重ねました。
 そのブログが、2004年にライブドアのブログランキング総合15位に入ります。
 1位はホリエモンこと堀江貴文氏、20位がサイバーエージェントの藤田晋氏という、今思えばかなりすごいランキングでした。

 そのうち読者から頻繁に、「ブログをビジネスで使うノウハウを教えてくれませんか?」というメールが来るようになりました。
 そこで、培っていたノウハウをベースに、人生初のセミナーを開催しました。
 こうして私は、まず「ビジネスブログコンサルタント」になったのです。

「とりあえず、やってみる」が道を切り開く

 ビジネスブログについてのセミナーをしているうちに、参加する人の中に、士業といわれる方々が増えてきました。

 あるとき、その中にいた税理士の方から、こんな言葉を聞きました。
「実は私もセミナーをやりたいんですよ。でも、セミナーの教科書もないし、ノウハウも一般化されていないから……」
 悩んでいる人がいるということは、そこにニーズがあるということ。私は「セミナー開催のノウハウを教えるセミナー」を開催したのです。
 これがヒットして、私は「セミナーコンサルタント兼セミナープロデューサー」に転身します。さらに執筆のオファーを受けて、ビジネス書籍の出版も果たします。

 セミナーについてのコンサルを行うようになると、起業家を間近で見る機会がさらに増えました。セミナーを開催したい人には、すでにビジネスで成功していたり、成功を目指している起業家が多いことにも気がつきました。
 そうこうしているうちに自分自身の経験も蓄積されて、いろいろな成功事例、失敗事例がわかってきたのです。ここから「起業コンサルタント」の活動もスタートし、ほどなく自分の出版経験を生かして「出版コンサルタント」も名乗るようになります。
 仕事を通じた経験の積み重ねが、今の肩書きにつながっているわけです。

 私の経験からもおわかりのように、コンサルタントになるために、特別な資格はいりません。経験やノウハウだって、突出していなくていいのです。
 コンサルタントに重要なのは、「とりあえず、やってみる」の精神です。
このマインドを持ち続け、世の中のニーズを正しく見抜ければ、「コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ」はすぐに実現できます。
 難しく考えることはありません。恐れることもありません。
第1章で詳しくご説明しますが、コンサル起業は「低リスク中リターン」。どん底のケースを想定したところで、借金まみれにはならないのですから。
 運悪く失敗しても、いつでもまた復活できます。

 それに、今の時代は「後ろ向きの起業」もありだと思います。
 就職できない、リストラされた、会社でイジメられている、転職したいけどいいところが見つからない……。
 そんなときは、腹をくくって、自分でやってみるしかないのです。
 今の会社にしがみついたり、怪しい会社に転職するべきではありません。こき使われて病気にでもなってしまったら、人生が台無しです。
 せっかくの一度きりの人生です。将来の選択肢の1つとして、コンサル起業を考えておくのは、とても重要なことだと思います。
 無理に会社にしがみつくより、明るい未来が開けてくるはずです!

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