ISBNコード978-4-08-786010-8
四六判 ソフトカバー 224ページ 1,200円(本体)+税
2012/4/5発売
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「世渡り 万の智慧袋――江戸のビジネス書が教える仕事の基本」
著者:田中優子
「始末」する。
誰も思いつかない「すき間仕事」に注目する。
人が捨ててかえりみない「ごみ」の中にこそビジネスチャンスがある。
――今も昔も変わらない、仕事と生き方の基本は、井原西鶴(いはらさいかく)先生に学べ。
「仕事とは何か」「何のために仕事をするのか」というビジネスの基本は、実は元禄時代に井原西鶴が、きっちりと、かつユーモラスに説き明かしていた。
江戸のビジネス書とも言える西鶴の「日本永代蔵」「世間胸算用」「万の文反古(ふみほうぐ)」を田中優子流に超訳して、現代にこそ通用する「仕事の心得の神髄」「まっとうに生きる智慧」を共に学ぶ1冊。
●目次
はじめに
現代語訳と編集の方法/作品と作者について/江戸時代と現代の違い
さまざま
第一章 ゼロからはじめる「始末」のビジネス
一 浪風静かに神通丸(日本永代蔵 巻一)――人が捨てるものを大事にするのが基本
二 煎じやう常とはかはる問薬(日本永代蔵 巻三)――金持ちになる処方箋があった!
三 世界の借家大将(日本永代蔵 巻二)――お金を使わず生きるには…
四 見立てて養子が利発(日本永代蔵 巻六)――ビジネスの才は年齢不問
五 尤も始末の異見(世間胸算用 巻二)――リーダーはそこに「居る」ことが大事
第二章 工夫と知恵と才覚を発揮する
一 昔は掛け算今は当座銀(日本永代蔵 巻一)――プライドを捨てて現実に直面する
二 舟人馬方鐙屋の庭(日本永代蔵 巻二)――情報獲得には速度が、組織継続には危機感が大切
三 大豆一粒の光り堂(日本永代蔵 巻五)――仕事は生き方そのもの
四 廻り遠きは時計細工(日本永代蔵 巻五)――まず資金を獲得せよ
五 才覚の軸すだれ(世間胸算用 巻五)――集中力こそ物を言う
第三章 仕事は手段を選ぶ
一 茶の十徳も一度に皆(日本永代蔵 巻四)――偽装に手を染めた利助の恐ろしい末路
二 奈良の庭竈(世間胸算用 巻四)――蛸売り八助、詐欺商法の結末
第四章 どん底からの出発
一 心を畳込む古筆屏風(日本永代蔵 巻四)――あきらめないから発見がある
二 祈る印の神の折敷(日本永代蔵 巻四)――自前で生きて、人を育てる
三 才覚を笠に着る大黒(日本永代蔵 巻二)――切羽詰って知恵が出る
四 広き江戸にて才覚男(万の文反古 巻五)――持続のかなめは「信用」
おわりに
著者紹介
田中優子(たなか ゆうこ)
1952年横浜生まれ。
江戸文化研究者。法政大学社会学部メディア社会学科教授・法政大学国際日本学インスティテュート(大学院)教授。
専門は日本近世文化・アジア比較文化。研究範囲は江戸時代の美術、生活文化、貿易、経済、東アジアと江戸の交流・比較研究、布や生活文化を中心にしたインド・東南アジアと江戸の交流・比較研究、江戸時代の価値観から見た現代社会の問題など多岐にわたる。2005年度紫綬褒章受章。著書『江戸の想像力』(筑摩書房・1986年度藝術選奨文部大臣新人賞)、『江戸百夢』(朝日新聞社・2000年度藝術選奨文部科学大臣賞・2001年度サントリー学芸賞)、『江戸の恋』(2002年集英社新書)、『カムイ伝講義』(2008年小学館)、『未来のための江戸学』(2009年小学館)、『布のちから』(2010朝日新聞出版)など多数。