はじめに
突然ですが、あなたの夢や目標は何ですか?
「マイホームが欲しい」
「独立してビジネスを始めたい」
「ワンランク上の生活がしたい」
「学校に通って資格を取りたい」
「年に何回か海外旅行がしたい」
「離婚したい」
「家族や大切な人の幸せな姿を見たい」
まだ他にも思い当たることはありますか?
あなたが子供の両親や祖父母なら、子供や孫のこうした夢や目標が実現するのをサポートしてあげたいと思いませんか?
世の中、お金がすべてとは言いませんが、お金や財産さえあればかなう夢や目標はたくさんあります。多くの人が夢や目標を実現させるために、毎日毎日食費を削り、友達との遊びもガマンし、買いたいものも買わずに過ごしているのではないでしょうか。
でも、何年ガマンすればいいのでしょう。もしかしたら何十年かかるかもしれません。
その間、あなたや、あなたの家族、大切な人はそんな生活を続けることができますか?
そんなときに、誰かからお金や財産を譲ってもらうことができたら、一気に夢や目標が現実になるかもしれません。人生を一瞬にして変えることだってできるでしょう。
実は、お金や財産をもらうにはコツがあります。そのコツを知っていないと、余計な税金を払うことになったり、トラブルを起こしたり、もしかすると、お金や財産そのものをもらえないかもしれません。
私はこれまで外資系会計事務所、国内外の金融機関、外資系コンサルティング会社や自身の税理士事務所での約20年間のキャリアを通じて、日本有数の資産家、国内外の大手企業や中小企業から一般家庭の個人に至るまでを、お金という物差しを通じて幅広く見てきました。この本では、そんなキャリアを積んできた税理士である私が、上手に財産をもらったり、贈ったりするためのコツを紹介しています。上手に財産をもらうことや贈ることができれば、実例のほんの一部ですが、こんなことも可能です。
「20代でマイホームを現金で購入。ローン負担はなし」
「不動産収入で悠々自適の生活」
「独立してビジネスで成功」
「海外の大学院を卒業してビジネスエリートまっしぐら」
「ワンランク上の生活ができるようになった」
「子供の教育費負担ゼロ」
「離婚後の生活資金の心配がなくなったので離婚に踏み切れた」
どうですか? ムリだと思いますか?
人によって違いはありますが、今よりも確実に夢や目標の実現に近づける方がほとんどのはずです。
でも、お金や財産を譲ってもらおうとするなら、財産を持っている相手とのコミュニケーションは欠かせません。その相手が両親や祖父母などの家族である場合、あなたがこれまでの人生で取ってきたコミュニケーションの中でも、最も中身の濃いものになることは間違いありません。実際にほとんどの方は、お金や財産をもらうための話し合いを通じて、家族との絆をより深く強いものにしています。そんな大事なコミュニケーションを実現するヒントについても、説明しています。
本書は、お金や財産を贈る方の立場、もらう方の立場の両方から書かれています。お金や財産を上手に残すためには、どちらか一方からの立場のみで理解すればよいというものではありません。
お金や財産を譲ってもらうためには、まず、財産を贈る側が上手に財産を残さなければ始まりません。そして、その財産を贈与税などの税金がかからないよう、上手にもらわなくてはいけません。
そこには、税金の知識などのテクニック的なことはもちろんのこと、お金や財産を贈る側ともらう側とで、しっかりコミュニケーションを取ることが欠かせないのです。
みなさんの立場に応じて読んでいただくとともに、もう一方の立場にも立って、お互いのメリットや気持ちを理解するように読んでみてください。お互いの立場を理解し、
お互いの幸せをサポートしていただくきっかけになれば、と考えています。
では、なぜ私が、上手に財産を残すためのしくみを紹介しようとしているか、わかりますか?
相続税はお金持ちにしか関係のない税金、これが世間一般のイメージでしょう。相続
税の課税対象は、亡くなった人の4%程度と言われているので、このイメージは間違っ
ていません。しかし、相続税法が大幅に改正されることにより、平成
27
年1月1日以降
の相続においては、今まで相続税とは無縁だったレベルの一般家庭でも、突然、数百万円の相続税を払わなければいけないかもしれない時代に突入します。
世帯主が
60歳以上の世帯が日本全体の8割の金融資産を保有している、と言われる状況において、国は相続税を通じて亡くなった方から税金をたっぷり取ろうとしています。
一方で国は、亡くなるまで財産を持っていると相続税をたっぷり取るぞと脅して、亡
くなる前に、お金や財産を若い世代に移転することを奨励しています。景気はお金や財
産を持っているだけではよくなっていきません。使ってこそ、経済が活性化します。
最近では趣味を楽しむアクティブなシニア世代も増えましたが、若い世代ほどの消費活動を行っているとはいえません。一方、若い世代は、消費しようにも十分な経済力がないので、親世代から若い世代へお金や財産を移転できるように、様々な制度を設けることによって、消費の活性化につなげていくことを狙っています。
こうした制度のポイントを押さえて上手に利用すれば、将来の相続税の負担を減らす
ことができるばかりではなく、場合によっては相続税や贈与税などの税金を一切払わずに、家族や大切な方が財産を手にすることも可能です。
相続税法は平成
27
年から大幅に改正され、これまで相続税の課税対象でなかった人に
も相続税がかかる可能性が出てきます。しかし、改正後も課税対象に含まれない人でも、
財産をもらう場合には、こうした制度の活用で無税で財産を手に入れることができるので、本書でこれからお伝えする方法は、一部のお金持ちだけでなく、すべての方にぜひとも知っておいていただきたいのです。せっかくの財産、税金で取られるくらいなら家族や大切な人で分け合って、みんなの暮らしが豊かになったらいいですよね。
お金や財産は上手にもらえば、もらった人の人生を劇的に変えるだけではなく、贈った人も幸せにします。まずは、
18ページからの、チェックリストをご覧ください。財産
をもらいたい人、贈りたい人、リストはそれぞれに分かれていますので、自分の立場に
あったリストを見て、思い当たる項目の文頭のボックスにチェックを入れていってください。これは今の自分を確認するためのもので、テストではありませんから、気軽な気持ちでやってみてください。
財産をもらいたいと思っている人は、財産を残して贈ってくれるであろう親のことを
どこまで理解しているでしょうか?
財産を贈りたいと思っている人は、財産をもらってくれるであろう子供のことを、どこまで知っているでしょうか。
チェックが終わったら、まずはそのままで結構です。このチェックリストの設問の意
味するところは、この本を読み終えたとき、おのずとわかってくることでしょう。
では、お待たせしました。上手に財産をもらったり、贈ったりするためのポイントを、
じっくりと見ていくことにしましょう。
■ 財産を贈りたい人のためのチェックリスト
□ 子供がどんな財産をいくら持っているか知っていますか?
□ 子供の1カ月の収入を知っていますか?
□ 子供の1カ月の生活費を知っていますか?
□ 子供の職業を知っていますか?
□ 子供の趣味を知っていますか?
□ 子供の夢を知っていますか?
□ 子供の記念日(誕生日、結婚記念日など)を知っていますか?
□ 子供の悩みを知っていますか?
□ 子供の健康状態、持病を知っていますか?
□ 子供が自分に何を望んでいるか知っていますか?
□ 子供がこれから結婚する予定はありますか?
□ 自分がこれから離婚する予定はありますか?
□ 子供が家を欲しがっていませんか?
□ 子供の毎月の生活は苦しくありませんか?
□ 子供は教育費に不安を抱えていませんか?
□ 子供は自己投資のお金を欲しがっていませんか?
□ 子供はビジネスや投資のためのお金を欲しがっていませんか?
□ 子供にはお金に不自由しない生活をしてほしいですか?
□ 子供の喜ぶ顔を見たいですか?
□ 自分の子供も含めて家族みんなが幸せになれればいいなと思いますか?
□ 最後に子供と話したのはいつですか?
□ 子供は最低でも1年に1回は実家に帰ってきますか?
■ 財産をもらいたい人のためのチェックリスト
□ 親がどんな財産をいくら持っているか知っていますか?
□ 親の1カ月の収入を知っていますか?
□ 親の1カ月の生活費を知っていますか?
□ 親の職業を知っていますか?
□ 親の趣味を知っていますか?
□ 親の夢を知っていますか?
□ 親の記念日(誕生日、結婚記念日など)を知っていますか?
□ 親の悩みを知っていますか?
□ 親の健康状態、持病を知っていますか?
□ 親が自分に何を望んでいるか知っていますか?
□ これから結婚する予定はありますか?
□ これから離婚する予定はありますか?
□ 自分の家が欲しいですか?
□ 毎月の生活は苦しくありませんか?
□ 子供の教育費に不安はありませんか?
□ 自己投資のためのお金が欲しいですか?
□ ビジネスや投資のためのお金が欲しいですか?
□ 実家は両親が亡くなったあと、どうなりますか?
□ あなたはお金に不自由しない生活をしたいですか?
□ あなたも含めて、家族みんなが幸せになれればいいなと思いますか?
□ 最後に親と話したのはいつですか?
□ あなたは最低でも1年に1回は実家に帰っていますか?
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