船ヶ山近年、働き方改革が少しずつ浸透してきていると思いますが、働き方が変わったと感じることはありますか?
石井まず、社会全体で言うと、働き方改革という言葉は、ここ1年のニュースでもよく耳にしますし、日本の会社員の方たちの最も気になるキーワードになっていると思いますね。誰もが意識しているのではないかと思います。
船ヶ山ニュースで耳にするのと、実感値とでは少し違うと思うのですが、石井さんの実感としてはいかがですか?
石井実は、働き方改革ということが提唱される少し前に、私は仕事のスタンスを思い切り、朝方に変えたんです。編集の仕事をしていると、朝方まで仕事をして、少し仮眠してから撮影に行く、なんていうスケジュールも日常茶飯事で。夜遅くまで仕事をするのは当たり前になっていました。しかし、自分が編集長になって、私が遅くまで仕事をしていると、部下やその周辺のスタッフの皆さんにまで影響が出るということを、とても痛感しまして。
船ヶ山ああ、そうなんですね。
石井昔は、朝まで仕事をすることも、夜中の12時からミーティングなんてことも、普通にありました。しかし、こんなことをしていると、スタッフに無駄な時間を使わせることになると思って。自分のポジションのことも考えて、徹底的に朝方にしました。
船ヶ山ということは、定刻の出社時間よりも早く出社されているんですか?
石井はい。午前10時半が出社時間なのですが、その前から仕事は始めていますね。朝一の仕事が外の場合も多いのですが、それでも朝7時半〜8時には自宅でメールのやり取りなどをしています。昔は夜、会食が終わってから、お酒が入った状態で編集部に戻り、仕事をしていたことも。年齢のせいもあると思いますが、効率も良くないし、僕とのミーティングが必要なスタッフを待たせてしまうとか、そういうことも考えて、徹底的に朝方に切り替えました。船ヶ山さんはどうですか?
船ヶ山お酒が入った状態で仕事をすると、判断力も鈍ってしまいますよね。夜遅い時間になるとハイになる楽しさはあるので、否定はしないんですけど、私自身もやはり朝、仕事をするということは大事だと思っています。石井さんが朝方にしたのは、何がきっかけだったんですか?
石井会社から、意識しなさいというアナウンスがあったことは事実ですが、その前に周りを観察していて、直感的にそうしようと思いました。私たちの世代は、あまり休んじゃいけないと思う世代ですよね。私たちぐらいの年齢だと、休むことへの不安と罪悪感みたいなものがどうしても拭えない。ずーっと会社にへばりついて、粘ることが美徳と思っていたり。過去、私もそうでした。サラリーマンは夜遅くまで残って仕事しているかが上司に認められるポイントだったりしましたよね(笑)。だから今は、部下にどう休みを取ってもらうか、ということも意識しているのですが、なかなか難しい部分もある。でも、それでいいんだろうか? 自分の人生の楽しさは? と考える人が少しずつ増えてきているのだと思いますね。船ヶ山さんは海外に住んでいらっしゃるし、海外の方ってどうなんですか?
船ヶ山海外は面白くて、夫婦が1番なんですよね。夫婦が1番で、2番目が家族。3番目が仕事なんです。
石井ああ、確かにそうですよね。
船ヶ山今年は、夫婦二人で旅行に行きましょうよ。じゃあその次は、家族旅行をしましょうよ。そしてその次は、また夫婦で旅行をしましょうよ。という感じなんです。日本では、夫婦でも、お父さん、お母さん、って呼び合うじゃないですか。そういうのは全然なくて、歳を取っても夫婦で手をつないでいますよね。
石井私の知り合いの外国人も、そんな感じですね。
船ヶ山オシャレですよね。仕事のプライオリティが下がってきているのかもしれませんね。
石井確かに日本においても、仕事が最上級でなくなってきている傾向はあるのかもしれませんね。